ポツンポツンと畑に転がっている円柱状のものは一体何?
北海道の雄大な農場のそばを車で走ると畑に大きな藁を丸めたものを見かけますよね?あれは一体何なのでしょうか?麦の収穫後の残った藁をまとめているような気がしますね。
今日は農機好きの視点から、藁の塊をどのように作るのかをご紹介します。動きのわかりやすい動画の紹介もありますよ♪
この記事の目次です!
ロールは何で出来ている?
畑に転がるロールは酪農用の牧草や麦を狩ったあとの藁(わら)で出来ています。
牧草ロール(ラッピング有り)
ラッピングされたロールは牧草のロールです。牛の餌に適した草を育ててロール状に固めています。
牛のご飯になります。
草はそのまま保管すると短期間で傷みますので水分を含ませた状態で発酵させて保管します。ラッピングして密閉することで英語でサイレージと呼ばれる熟成草をつくっているのです。
Nothing out of the ordinary Just a cute dog sitting on a pink wrapped bale near Ballyvaughan, Clare. Pic @jkphoto68 pic.twitter.com/cyckW8OBhM
— Mark Dunphy (@Mark_Dunphy) 2015年6月11日
わらロール(ラッピング無し)
ラッピングされていないロールはわらロールです。
牛の寝床として使うためラッピングせずに乾燥させたわらを丸めてあります。牛の飼料のかさを増やすためにに混ぜることもあります。
We have to roll out the bales to bed the cattle going to be 20 bales today
Kate asking for donations for a bedder pic.twitter.com/j4688i3JnB— Farmers Of The UK (@FarmersOfTheUK) 2016年1月11日
ロールの重さは?
対象の作物は、牧草、麦わら、稲わらなど多岐にわたります。
普通サイズのロールでも300kg位あります。発酵させた大型のロールは1トン(1,000kg)近くになることも有ります。見た目以上に重いですね。
ロールはどのように作られる?
ここからが農機好きの興味のあるところ、どのようにロールが作られるのか調べてみました。
ベーラーで巻く
ロールを作る機械はベーラ(Baler)と呼ばれます。Bale(樽)をつくる機械という意味ですね。
トラクターがベーラーを牽引して、ベーラはトラクターの後ろで働きます。トラクターの後ろ側からPTO(Power Take Off:動力出力)の回転シャフトを経由してエンジンの回転を受け取って動きます。
ロールをベーラで作る前に、レーキ(熊手)で草を縦に集めて並べた上をトラクターに引かれたベイラーで草を回収してベールを作るのです。
ベーラーの起源は1947年にエリスシャルマール社が販売したもので、現在のような近代的なベーラーは1972年のフェルメール社が作ったものです。
ベーラーは正式な日本語では「梱包機械」と日本語名があるようですが、通称では「ベーラー」とそのまま呼ばれます。
Introducing #NH1stCut Submit a photo, you could win a Roll-Belt 450 Round Baler! Details on http://t.co/gzHeKmzFF1 pic.twitter.com/0MFn2FmjJ7
— Michael Cornman (@CornmanMichael) 2015年5月13日
丸いロールを作る『ラウンドベーラー』
ベールの形は北海道で見る丸いロールだけではなく四角い草の塊を作るタイプも有ります。両者とも草を集めて固めてるのは同じです。
では、まず丸いロールを作るラウンドベーラーの動画からどうぞ
四角い塊を作る機械『スクエアベーラ』
次に、四角い塊を作るスクエアベーラーの動画を御覧ください。機械の中では、こんな感じで草を圧縮していきます。
四角いベーラーは小型の牧草地で使われ、移動や保管場所が丸いものより管理しやすいのがメリット。
動画を見ると押し込んで四角くなっていく様子がよくわかりますね♪
ベールをラッピングする機械『ラッピングマシーン』
発酵させる牧草ロール(サイレージ)はラッピング機械でカバーとなるビニールを巻きます。空港で見かけるスーツケースをラッピングするマシンと同じ仕組みですねw
ロールを移動させる機械『スピアーハンドラー』
作ったロールを運ぶ機械ももちろんあります。ロールは畑にずっと置いておくわけではなく倉庫にしまうんですね。
ロールづくりとラッピングまでする『一体型ベーラー・ラッパー』
ベーラーとラッピングマシーンが一体となった機械です。ベールを作りながら後ろでラッピングをしてしまいます。
止まることなくハイスピードでロールをつくりラッピングして排出していきます。これは効率いいですね!
トラクターを必要としない『自走ベーラー』
トラクターを必要としない専用のベーラーも有ります。他の目的には使えないのでトラクターのように汎用性は無いのが残念。
そして形があまりにも奇妙です。前輪は90度以上の操舵角です。動きも奇妙です。しかしながら専用マシンなのである種のカッコよさがあります。
日本メーカーの製造するベーラー
日本ではIHIスターとタカキタでベーラを製造しています。日本では需要が少ない為か多くのメーカが参入していません。
IHIスター
稲わらをまとめる小型のベーラーを製造しています。
タカキタ
レーキ(草を集める熊手機能)とベーラーを一体型にした使い方もできる機械も製造しています。
おわりに
北海道でみかける丸いロールの作られ方について紹介しました。
普段は見れない農業機械ですが北海道に行った際に見つけたら畑の横で見張ってみましょう(笑)
牧草ロールの収穫は年に1回ではなく、2〜3回です。6月頃や9月頃が見れる可能性が高いシーズン。わらのシーズンは麦が刈り取られる7から8月頃です。
ウォッチに行く場合は雨が降る前の日がおすすめ、なぜなら雨が降ると草に水分が含まれすぎてロールの価値がなくなるので雨の直前に一気にロールにしてしまうのです。